分からないことはやらないということ
私たちは、「分からないことはやらない」「分からないときはやらない」というポリシーを明確にしています。どんなに精力的にボトムアップリサーチを行い、どんなに精緻な市場分析ができたとしても、相場の動きが説明できない時は多々あります。それは数日で終わることはほとんどなく、数週間、もしくは、数ヶ月続くことも珍しくはありません。そんなとき、冷静さを失い、自分がマーケットから取り残されてしまったような恐怖を感じることがあります。「マーケットは常に正しい」のだから「良くわからなくともマーケットについていくべきだ」という誘惑に駆られがちです。
実際には、私たちが把握していない何かをマーケットが織り込んでいることも多く、その何かは後になってみないと分からないということも、往々にしてあります。結果としてみれば、「難しいことを考えずにマーケットについていくことが正解だった」ということも、また、多いように思われます。しかし、市場がどう動いていても、その理由を私たちが理解できないのならば、絶対に「やるべきではない」のだと思います。結果を追求することはとても大事ですが、大事なのは結果に至るまでのプロセスです。私たちは何をどう考えて判断したのかを、顧客に説明しなければならないという説明責任を負っており、次に同じ局面がやってきたときに同じ結果を出せるという再現性を示さなくてはなりません。
結果よりもプロセスを重視する私たちの姿勢は、社内の人事評価基準においても、明らかです。お客様の投資の成果と連動して頂戴する成功報酬は、弊社の重要な収益のひとつではありますが、敢えて投資の成果を直接個人の成果に紐付けることは、行っていません。大事なのは、プロセス。個々人が何を考え、何を行い、会社というチームにどう貢献したのか、という定性評価によって、考課を定めています。
社外への説明と社内の評価を一致させることによって、はじめて、「正しいことを行ってさえいれば、他と違っていてもかまわない」という「マーケットから取り残される恐怖感」に打ち勝つことができるのだと考えます。そして、ゆくゆくは、パフォーマンスという成果として現れてくるのだと信じています。